Kurogane No Michi

デンマーク鉄道博物館

オーデンセの扇形車庫を利用した博物館です。蒸気、ディーゼル機関車、電車、客車、貨車など、多くの車輌を保存しています。車庫の外側の引き込み線にもたくさんの車輌が保存されていました。その一部を紹介します。(撮影:2012年9月)

館内および館外展示

建設用蒸気機関車 L2

デンマーク鉄道博物館 建設用蒸気機関車 L2

イギリス、グラスゴーにあったアレクサンダーチャップリン社(Alexander Chaplin & Co.)で1869年に製造された、鉄道建設用の機関車です。縦型ボイラーで運転台はありません。オーフス(Aarhus)の急勾配で使用したときには力不足で馬の助けを借りました。早くも1884年に廃車されています。

建設用機関車 L2 諸元
全長4405mm 全幅2300mm
全高2830mm 動輪直径830mm
重量8t ボイラー圧力5kg/cm²

蒸気機関車 Bクラス45号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 Bクラス45号

イギリス、ニューカッスルのロバート・スティーブンソン(Robert Stephenson and Co.,)社が1869年にユトランド-フェネン州鉄道(Jutland-Funen State Railways)に供給した機関車です。煙突に赤と白のデンマーク国鉄色を最初に巻いた機関車です。信頼性に優れ、1928年まで使用されました。

蒸気機関車 Bクラス45号
軸配置1-B-0 全長12816mm
全高3290mm 動輪直径1524mm
ボイラー中心線高1880mm ボイラー圧力10kg/cm²
運転整備重量25.5t 空車重量22.9t
炭水車重量16.5t 石炭搭載量3t
水槽容量4.7m³ 最高速度90km/h

蒸気機関車 Eクラス994号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 Eクラス994号

デンマーク最大の急行旅客用機関車で、1937年にスエーデン国鉄から1914年~1916年ノハブ(NOHAB)製のF1200形を11輌を中古で購入し、左運転台を右にするなどの改造ののち使用しました。さらに機関車が不足したため1942年~1950年にデンマークのフリクス(Frichs)で25輌製造しました。1950年に製造したものが、デンマークにおける最後の新製蒸気機関車となりました。

蒸気機関車 Eクラス994号 諸元
軸配置2-C-1 全長21265mm
動輪直径1896mm ボイラー圧力13kg/cm²
運転整備重量85.55t 空車重量76.1t
炭水車重量52.0t 石炭搭載量6.5t
水槽容量25.0m³ 最高速度110km/h

蒸気機関車 G(Ⅰ)クラス78号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 G(Ⅰ)クラス78号

1875年にドイツのエッセリンゲン(Esslingen)社で製造された機関車です。ユトランド半島を縦断する路線で貨物列車を牽引しました。小さめな動輪は、長い勾配で貨物を牽引するのに最適で1934年まで使用されました。

蒸気機関車 G(Ⅰ)クラス78号 諸元
軸配置0-C-0 全長13677mm
動輪直径1384mm ボイラー圧力10kg/cm²
運転整備重量27.5t 空車重量26.91t
炭水車重量17.3t 石炭搭載量3.0t
水槽容量5.9m³ 最高速度45km/h

蒸気機関車 Hクラス40号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 Hクラス40号

ユトランド・フェネン州鉄道(De jysk-fynske Statsbaner)用として1868年にイギリスのロバート・スティーブンソン(Robert Stephenson and Company)社のニューカッスル工場で製造された5両のうちの1両で、現存する最古の機関車です。1914年に廃車になり、私鉄に払下げられましたが、1947年に鉄道博物館に寄贈され保存されました。

蒸気機関車 Hクラス40号 諸元
軸配置0-B-1 全長10556mm
全高3664mm ボイラー中心線1715mm
動輪直径1372mm ボイラー圧力8.5kg/cm²
運転整備重量19.3t 空車重量17.7t
炭水車重量11.4t 石炭搭載量2.0t
水槽容量3.0m³ 最高速度70km/h

蒸気機関車 Oクラス318号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 Oクラス318号

1898年にドイツのボルジッヒ(Borsig)で製造され、1897年に開通したシェラン島海岸線(コペンハーゲン~クランペンボー(Klampenborg)~ヘルシンゲル(Helsingør))の旅客列車を牽引した機関車です。タンク機関車のため、運用上ターミナル駅で方向転換する必要がないため便利でした。1927~28年に後継のSクラスが登場すると、ローカル線に異動し、1958年まで使用されました。

蒸気機関車 Oクラス318号 諸元
軸配置1-B-1T 全長11000mm
動輪直径1710mm ボイラー圧力12.0kg/cm²
運転整備重量53.9t 空車重量41.2t
石炭搭載量2.2t 水槽容量6.0m³
最高速度70km/h

蒸気機関車 P(Ⅰ)クラス125号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 P(Ⅰ)クラス125号

P(Ⅰ)形は、1882年と1883年にドイツのエッセリンゲン(Esslingen)とホーヘンツォルレン(Hohenzollern)で12輌製造された機関車です。地方の鉄道は建設費の関係で、非常に軽いレール(17.5kg)で敷設されました。そのような路線に適応するために製造された機関車です。125号はホーヘンツォルレン1882年製で、1906年に私鉄に払い下げられ1948年に廃車されました。

蒸気機関車 P(Ⅰ)クラス125号 諸元
軸配置0-B-2T 全長8900mm
動輪直径1090mm ボイラー圧力12.0kg/cm²
運転整備重量23.3t 空車重量18.7t
石炭搭載量1.5t 水槽容量2.5m³
最高速度45km/h

蒸気機関車 P(Ⅱ)クラス931号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 P(Ⅱ)クラス931号

P(Ⅱ)形は、1907年から1910年にドイツのハノーマグ(Hanomag)とシュワルツコフ(Schwartzkopff)で33輌製造された機関車です。4気筒の複式機関車で高圧のシリンダーが外側に、ボイラー下に低圧のシリンダーがあります。931号はシュワルツコフの製造で客貨両用として1958年まで使用されました。

蒸気機関車 P(Ⅱ)クラス931号 諸元
軸配置2-B-1 全長18515mm
動輪直径1984mm ボイラー圧力15.0kg/cm²
運転整備重量120.4t 空車重量63.7t
石炭搭載量6.0t 水槽容量21.0m³
最高速度120km/h 炭水車重量48.4t

蒸気機関車 Qクラス345号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 Qクラス345号

Qクラスはデンマークのオーフスのフリクス(Frichs)社で1930年~1945年に15輌製造された機関車です。当時旧型になっていた入換用機関車の代替として製造されました。345号は1943年の製造ですが、戦時中のため銅などの材料が不足していたため、代用材で製造され、1974年まで使用されました。

蒸気機関車 Qクラス345号 諸元
軸配置0-D-0T 全長10340mm
動輪直径1252mm ボイラー圧力12.0kg/cm²
運転整備重量56.0t 空車重量47.5t
石炭搭載量2.5t 水槽容量6.0m³
最高速度45km/h

蒸気機関車 SSBN(私鉄)3号

デンマーク鉄道博物館 蒸気機関車 SSBN(私鉄)3号

私鉄のSSBN(Stubbekøbing-Nykøbing-Nysted Banen)は1910年から1966年まで存在した、ファルスター島のStubbekøbingからNykøbingを経由してロラン島のNystedを結んでいた私鉄です。1~5号は同形でドイツのマッファイ(Maffei)で1910年に製造されました。1966年の路線廃止にともなって他の私鉄の移りましたが、1997年に鉄道博物館に売却されました。その後2018年に保存鉄道のMBJ(Maribo - Bandholm Jernbane)に売却され、現在動態保存されています。

蒸気機関車 SSBN(私鉄)3号 諸元
軸配置0-C-0 全長8660mm
動輪直径1100mm ボイラー圧力12.0kg/cm²
運転整備重量33.0t 空車重量25.1t
石炭搭載量1.0t 水槽容量4.5m³
最高速度50km/h

入換用貨車移動機 トラクター57号

デンマーク鉄道博物館 入換用貨車移動機 トラクター57号

入換線用の貨車移動機で本線上は運転できません。機関車ではなくトラクターと呼ばれています。1953年にデンマークのペダーシャーブ(Pedershåb Maskinfabrik)が製造した2両のうちの1輌です。

入換用貨車移動機 トラクター57号 諸元
軸配置B 燃料ガソリン
エンジンBedford 6気筒 トランスミッション機械式
運転整備重量6.0t 最高速度25km/h
出力78馬力

ディーゼル機関車 MH(Ⅱ)クラス322号

デンマーク鉄道博物館 ディーゼル機関車 MH(Ⅱ)クラス322号

1960年~1965年にデンマーク、オーフスのフリクス(Frichs)で120輌製造された、入換用の機関車です。この機関車の登場により入換用の蒸気機関車が淘汰されました。322号は1961年の製造で、1999年に廃車され鉄道博物館で保存されています。

ディーゼル機関車 MH(Ⅱ)クラス322号 諸元
軸配置C 燃料ディーゼル
エンジンMAN製8気筒 トランスミッション油圧
出力440馬力 全長9440mm
運転整備重量40.5t 最高速度60km/h

ディーゼル機関車 MX(Ⅰ)クラス132号

デンマーク鉄道博物館 ディーゼル機関車 MX(Ⅰ)クラス132号

1932年にデンマーク、オーフスのフリクス(Frichs)で2輌製造されたディーゼル旅客用機関車です。暖房用に蒸気ボイラーを備えています。番号101は1957年、102は1958年に廃車となりました。

ディーゼル機関車 MX(Ⅰ)クラス132号 諸元
軸配置2-D-2 燃料ディーゼル
エンジンFrichs 6285CL 6気筒×2 出力850馬力×2
暖房油焚き蒸気ボイラー 全長17000mm
運転整備重量102.0t 最高速度110km/h

ディーゼル機関車 MY(Ⅱ)クラス1101号

デンマーク鉄道博物館 ディーゼル機関車 MY(Ⅱ)クラス1101号

蒸気機関車の段階的廃止のため、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)のF7機関車をライセンスにもとづき、スエーデンのノハブ(NOHAB)で1954年~1965年に59輌製造した機関車です。エンジンは製造した年代により異なり、1101~1105は1500馬力の567B、1106~1144は1,700馬力の567C、1145~1159は1,950馬力の567Dが使われています。1101号は動態保存で屋外にありました。扇形車庫内部にはサイドをカットしてエンジン部分が見えるようになっている1112号も保存されています。

ディーゼル機関車 MY(Ⅱ)クラス1101号 諸元
軸配置A1A-A1A 燃料ディーゼル
エンジンGM 16気筒 567B 出力1500馬力
全長18900mm 運転整備重量101.6t
最高速度133km/h

ガソリンカー MEクラス35号

デンマーク鉄道博物館 ガソリンカー MEクラス35号

デンマーク、オーデンセのTriangelで1927年と1928年に17輌製造された、ガソリンカーです。アメリカのコンチネンタル社(Continental Motors Company)のエンジンを積み、旅客室の他、トイレ、荷物室があります。この35号は1927年製造で動態保存されています。

ガソリンカー MEクラス35号 諸元
軸配置2軸で1軸のみ駆動 燃料ガソリン
エンジンコンチネンタル 出力100馬力
全長11600mm 運転整備重量14.4t
最高速度70km/h

Sトレイン電車 MMクラス718号

デンマーク鉄道博物館 Sトレイン電車 MMクラス718号

コペンハーゲン都市圏には、Sトレイン(S-Tog)と呼ばれる独立した運行系統の電車があり、この車輌はその第一世代です。718号はデンマーク、オーフスのフリクス(Frichs)で1933年に製造されました。2等車のみのモノクラスの電車で1972年に廃車になりました。

Sトレイン電車 MMクラス718号 諸元
電圧直流1500V 出力120KW×4
全長20200mm 重量51.0t
最高速度90km/h

雪かき車 Sneplov 8号

デンマーク鉄道博物館 雪かき車 Sneplov 8号

1862年から1893年まで、デンマークのオーフスにあったJFJ(Jysk-Fyenske Jernbaner)鉄道で1869年に製造された雪かき車です。オーク材で造られた木造で元々は茶色に塗られていましたが1929年からは灰色になりました。動力はありません。鉄道博物館の展示も蒸気機関車で押している姿になっています。

雪かき車 Sneplov 8号 諸元
全長8680mm 全幅3000mm
全高3350mm 重量12.5t

軌道自転車と客車 BJクラス665号

デンマーク鉄道博物館 軌道自転車と客車 BJクラス665号

軌道自転車と呼ばれる人力で動かす車輌です。鉄道博物館には3種類の軌道自転車が保存されていますが、これは一番原始的なロッドで車輪を回転させるというものです。後ろはBJクラスの客車665号で、1868年にイギリス、バーミンガムのミッドランドワゴン社(Midland Waggon Company)で製造され、1931年に廃車されています。

2階建て客車 COクラス 10 498号

デンマーク鉄道博物館 2階建て客車 COクラス 10 498号

デンマーク、マリボのヴァルカン社(Vulcan)で1900年に製造されました2階建て客車です。暖房設備がないため夏の郊外列車専用で、当初は1階が2等、2階が3等車でしたが、非常に狭いため評判はよくなく、全車3等に改造された後、1931年に廃車されました。

2階建て客車 COクラス 10 498号 諸元
全長9690mm 全高4260mm
軸数2 座席数90
重量12.9t

扇形車庫内部

デンマーク鉄道博物館 扇形車庫内部

主な展示は扇形車庫内部なので、扇形に広がっている関係で、となりの線路との間隔は先は狭く奥は広いため、写真撮影の自由度はあまり高くありません。また光線も片方からなので黒い機関車は露出を決めるのが難しかったです。